

電子契約の導入が止まる原因は、ツールが難しいからではありません。
稟議・承認フローが紙前提のままだからです。
結論:稟議・承認は「全部を変える」より、止まるポイントだけを潰すのが最短です。
この記事では、現状フローを崩さずに電子契約へ置き換える設計手順を、実務向けに整理します。
契約業務は、どの会社でも大きくは同じ流れです。
止まる場所は、だいたい次の3か所に集中します。
| 止まる場所 | よくある原因 | 対策の方向性 |
|---|---|---|
| ①起案(契約を起こす) | 誰が作るか不明/必要書類が不明 | 起案者を固定し、必要情報をテンプレ化 |
| ②承認(稟議・法務) | 承認者が多い/条件でルートが変わる | 承認ルートを「条件分岐」で整理 |
| ③締結(署名・送付) | 最終決裁者が不明/送付が属人化 | 締結者・送付者をルール化 |
ポイント:電子契約に置き換えるのは「③締結」だけでは足りません。①②のルールが曖昧だと、必ず③まで辿り着けず止まります。
承認フローを壊さず移行するコツは、いきなり新ルールを作らないことです。
まずは現状の流れをそのまま写して、次に最小のルールに落とします。
現実的なゴール:紙の稟議をゼロにすることではなく、「承認が終わったら迷いなく締結に進める状態」を作ることです。
最初にやるのは、現状の棚卸しです。ここが曖昧だと、移行後に揉めます。
| 棚卸し項目 | 例 |
|---|---|
| 起案者(作成する人) | 営業担当/バックオフィス |
| 一次承認者 | 部門長 |
| 法務確認の要否 | テンプレなら不要/改変ありなら必須 |
| 最終決裁者 | 代表/役員/部門長 |
| 例外条件 | 金額・期間・違約金・再委託など |
コツ:「誰が見るか」より「どんな条件で誰が見るか」を書き出すと、後でルールが作りやすいです。
承認ルートが複雑な会社でも、条件はだいたい同じ系統に収束します。
おすすめは、承認条件を3段階にまとめることです。
| 段階 | 対象 | 承認イメージ |
|---|---|---|
| 通常 | テンプレ利用/金額小/期間短 | 部門長のみ |
| 注意 | 条項改変あり/金額中/期間長 | 部門長+法務 |
| 重要 | 違約金大/個人情報多/独占・競業など | 部門長+法務+役員 |
ここが効く:この3段階に整理すると、「誰に回せばいいか」の迷いが消え、承認スピードが上がります。
電子契約は、承認が終わった後の「送付」が意外と属人化します。
ここをルール化しないと、「誰が送るの?」で止まります。
おすすめの決め方:
重要:チェック項目を増やしすぎると逆に遅くなります。まずは「事故が起きたら痛い」部分だけに絞るのが現実的です。
承認フローで必ず起きるのが「誰か1人が見ない問題」です。
これを放置すると、電子契約の印象が一気に悪くなります。
| 状況 | ルール(例) |
|---|---|
| 承認が24時間止まる | 起案者がリマインド |
| 承認が48時間止まる | 部門長へエスカレーション |
| 緊急案件 | 口頭確認+事後承認(例外ルール) |
ポイント:「止まったらどうするか」まで決めて初めて、フローが運用として成立します。
導入初期は「何をどう回すの?」の問い合わせが増えます。社内向けの短文をテンプレ化しておくと便利です。
社内案内テンプレ:
契約書は、通常は「起案 → 部門長承認 → 電子契約で送付」の流れで進めます。
条項改変や重要条件がある場合は「法務確認」を追加してください。
承認が止まった場合は、24時間でリマインド、48時間で部門長へエスカレーションします。
稟議・承認フローを崩さずに電子契約へ置き換えるには、次の2点が効きます。
ここまで整うと、契約書業務は「止まる」から「流れる」に変わります。